ツアーログ2000

[南九州ツアー]

8月4日(金)〜6日(日)


九州 鹿児島の西から南のあたりには有人、無人の島(岩?)が点在する。屋久島やトカラ列島までは行かない鹿児島の陸地からそれぞれ60〜80km走ったところがそうだ。

これまではトカラツアーの初日に寄ったりしていた。しかし、ついでではあまりにもったいない海である。ここいらあたりを船で潜り歩こうと南九州ツアーと呼んで計画したのである。

写真 : スタッフいたみ(デジカメで)


8月4日(金)

のっけから迷走ツアー 

今年の遠くのツアーはなかなか大変だ。小笠原の南の方にとても強い台風8号が出来て北西の方向に進んでいるではないか。天気予報の台風の予想進路では、このまま行くと週末に奄美とか九州の南のあたりに来てしまうとか言っている。あ〜あビンゴかな?中止も含めいろいろ悩んだがとりあえず出発することにした。

朝羽田を発って鹿児島に着くと天気は快晴。なんでも昨日まではず〜〜とっ雨だったとのこと。そこんところはヨカッタ。しかし、台風は着々とこっちへ向かっているらしい。これは鹿児島観光ツアー(温泉巡ったり、鹿児島ラーメン食べたり..)になっちゃうのかな?主催者としてはつらいなぁ。

当初の出港予定地ではそんなわけで出港できるかわからないとのこと。(まず無理でしょうと言う感じ)お天気のことはグダグダ言っても始まらない。しかし、離れた島(船で3時間近く走る)じゃなければ今日のところはダイビングはまったく問題はない。太平洋側はわからないがこのあたりにはうねりも来ていないし、風も弱い。

小さな漁村でのダイビング

よさそうなところへと車を走らせて、とある小さな小さな漁村に来た。ここは小さな船外機付きのボートで細々とダイバーを潜らせているようだ。陸上景観は山が迫り、海岸は入り組んでいる。とりあえず今日はここで潜ってみよう。

1日目はこの島で潜った。枇榔島

1ダイブ目は陸地からちょっと離れた島の沖に向かった岬みたいなところで潮当たりは良い。水は最近の長雨のせいでかなり濁っているとのことで8〜10m程。水温は27℃前後。水面からは鹿児島名産のキビナゴが見えている。潮流はけっこうある。エントリーすると、やはりすごいキビナゴの大群が走りまくっている。時にはまわりが見えなくなるくらい囲まれる。結局最後までキビナゴの群れは我々の周りを走りまくっていた。そいつらを狙ってカンパチ、ワラサ、ツムブリ、ハガツオの群れが現れる。型の良いイサキも群れている。岩の間にはサザナミヤッコ、キハッソク、ムスジコショウダイが当たり前に泳いでいる。かと思うとニザダイ、メジナ(多かった)、タカノハダイ、ミギマキなど伊豆でもおなじみの魚たちも普通にいる。水こそ濁っているが楽しいじゃないって思わずにはいられない1ダイブであった。

2ダイブ目は湾内のにて。ここではのんびりとカクレエビ系(ヒトデやウミシダ)を見たりクマノミ卵を観察したりした。ときおりカンパチやツムブリも現れたりしていた。


8月5日(土)

ラッキー!走れちゃうって

ここの集落から出港予定地まで車で約2時間。台風は着々と(ゆっくりではあるが)こちらへ向かっている。直撃コースではないがクルーズに出かけるには充分あやしい雰囲気である。これから(もう夕方5:30)出港できるか出来ないかわからないのに移動するのはなぁ… なんて考えながら船を出してもらった漁師さんと雑談すると「あんたらどこ行こうとしてたの?」 コマツ「はぁ、宇治群島あたりに」 漁師さん「ここ船なら1時間30以内で行っちゃうよ。」 コマツ「ナニ〜ッ」 コマツ「おねげえしますだ。でも時化は大丈夫ですかねェ」 漁師「大丈夫じゃないか、船は速いし、まだ凪だし」ちなみにこの船はダイバーを島まで乗せて行くのは初めてだという。結局、当日5日の朝の海況を見て決めることに。そんな訳で予定地には行かずに急遽ここの旅館(ここでタンクも貸していた。)に泊まることにする。

ちょっとドキドキしながら朝を迎えると海は凪である。風もない。台風8号は予想よりも南のコースをたどり、速度も遅いようだ。まだ新しそうな漁船に乗りこみいざ出発。乗っているのは漁師さんたち4人?と我チーム6名だけ。なんと贅沢な。「これで走ったら赤字なんだけど今回はわざわざ遠くから来たんだもんね」ありがたいったら。船は素晴らしいスピードである。普通なら宇治群島までは2.5〜3時間くらいはかかる。

ダイビング:宇治群島

宇治での1ダイブ目はここで。イワシDって「岩フェチ」かもしれない。

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夏はけっこう釣りやダイビングで船が来るらしい。しかし、この日は台風の予報のせいか他に船は漁船が2隻ほど。海況は凪である。その海のことは漁師さんの判断に任せるのが良い。予報、船足、所用時間などを勘案して走ってくれたのである。

1ダイブ目は向島の西側。船側もダイバーもまだお互いのやり方はわからないので割と静かな場所にする。そういえばエントリー直前に水面にシイラの姿が見えたらいきなりルアーを投げ始めたのには笑えた。さすが漁師さん。水中は透明度は20〜25m位かな、やはり長雨の影響があるのかもしれない。水温は27℃以上。巨大な岩がゴロゴロし、大きなアオブダイ多数、メジナの大群、イシダイ、イシガキダイ、ツムブリ、カンパチなど。釣氏が喜びそうだ。とにかくここまで来れたことがうれしい。

2ダイブ目は魚群探知機で水深や魚影を見ながらあそこがいい、ここがいいと言いながらまわってもらう。漁師さんと我々の好みの違いもあっておもしろい。結局、島から沖に出ている瀬の先端が少しだけ海面に出て洗岩となっているところにしてもらう。洗岩の寸前まで船を寄せてもらい、一発で入る。洗岩からは水深30mまで一気に落ち込んでいる。漁師さんは多少不安なようだったがいつものうちのスタイルが威力を発揮する。バラバラに飛び込んだり、水面でぼやぼやしているようだと船が洗岩にぶつかったり、ダイバーと船が接触する可能性があるのでこういうところはやれない。

どうもここのところ水温のせいか、潮のせいか魚が少ないとかで絶好調とは行かないがドロップオフ沿いを先端の方に向かって泳いでいると若いイソマグロが通る。そんなのを見ながら泳いでいると後ろのほうからハンマーヘッド登場。1匹で愛想もなく行ってしまったが、この水温だし予想もしていなかったのでポカーンとしてしまう。根の先端まで来るとコガネスズメダイがグッチャリと群れている。天気は良くて陽射しは届いているし魚は黄色いもんだからとてもきれいだ。そこにタカサゴの群れやトサヤッコ、モンガラカワハギも混じったりしてとてもにぎやかだ。岩陰にはケサガケベラの幼魚やタテジマキンチャクダイの幼魚やらもいて飽きない。ここは、根は沖に張り出しているし、潮当たりはいいし、地形も水深30〜40mから一気に立ち上がっていて潮が良かったらかなりおもしろそうだ。要チェックだね。こんな風によさそうなところに入ってみちゃうというのは秘境ダイビングの最大のおもしろさである。はずれならハズレでもかまわないとメンバーみんなで考えて入ってみるのである。こんな岩の下の水中はどんななっているんだろうって気持ちがダイビング遊びの出発点だしね。 0

根の先端付近にはコガネスズメダイやタカサゴが見事に群れていた。

休憩:宇治群島家島上陸

宇治群島 家島の港。この時は我々だけしかいなかった。スロープを上がると住宅跡がある。

宇治群島の家島には現在は人は住んでいないが港がある。以前、漁師さんが住んでいたとかで廃墟となった住宅があるが現在は避難港みたいな存在になっている。さて、お昼ご飯も兼ねて港に入り上陸する。そこには岸壁のほかにスロープがあってメンバーはスノーケリングをして遊んでいた。それからこの島には小さな川が流れていて港のすぐそばに真水がうたせ水のように落ちている。こんな無人島に来て真水を浴びられるなんて。そういえば、やはり夏場の週末はこの港にも多くの船が来て港に入れないことが多いらしいがこの日は我々の船しか入っていない。天気は快晴、海は凪、もう最高。

今では青空トイレ?となっている。住宅跡にて。

予定では船で出港して2〜3日島々を巡るはずであったが、台風がどうなるかわからない状態である。宇治群島で遊んだ後はまた、小さな集落に戻る。とはいえ、なにしろ足の速い船である。1時間20分で戻り、旅館でお風呂に入り夜は星を見たりしてのんびり過ごす。台風のせいで予定とは変わってしまったがこれならぜんぜんOKだ。もう、島には走れないと覚悟していたのに偶然走れてしまうし。


8月6日(日)

津倉瀬

台風はことのほかゆっくりで南よりの進路を進んでいる。漁師さんと話をして、朝一番で津倉瀬というその船で50分くらいの場所にある岩(高さ30mくらいで、もちろん無人)に行くことになった。今日こそは海はダメで鹿児島観光かなと思っていたが結局ラッキーだな。海はさすがに昨日よりうねりが来ているが船は相変わらずのスピードで走る。津倉瀬は大小3つの岩があり南東側にはうねりが当たっている。ダイビングをしないその漁師さんの話では「ここはフカが多いし何がいるかわからないので気持ち悪くて泳ぐ気がしないよ」と言っていた。フカという響きはちょっとコワイ。岩の陰はうねりや波も当たらない。たまたま潮の陰にもなっている。岩の間の瀬戸(海峡みたいの)の肩にエントリーする。水は何故かきれいで30m以上見えている感じだ。潮の陰ということもあり魚はあまり通らなかったが他ではほとんど見れないキヘリキンチャクダイがいたりして名物を見たような気がした。他には相変わらず大きなアオブダイ多数、カンパチ、ツムブリ群れ、サザナミヤッコ(ここまでくるともう当たり前に泳いでいるんだな)などがいた。周りがすべて凪でいい場所にエントリーできたらかなりおもしろそうな雰囲気をたっぷり持っている岩である。

最後まで快晴!津倉瀬の岩のひとつ。

エキジット時にハシゴが折れておおわらわといったこともあったが昼前には出港地に戻った。あとはのんびり(でもめんどくさい)パッキングをして夕方に鹿児島空港に向かう。飛行機は夜7:40発。いろいろあったがあっという間の3日間であった。南九州のエリアにはこれまで何回か来たがまだまだ数が多く、これからも何度も来なくてはならない。今回は台風8号のおかげで予定が大幅に変わってしまったが、天気は3日間素晴らしい快晴だったし、まったく知らなかった静かな集落に滞在することも結果的には楽しかった。怪我の功名というか予期せぬ行程だったが楽しいツアーとなってしまったのであった。


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